三流商民族国家「日本」

先日の新聞記事に、松阪牛が高騰しているという記事が報じられていました。

度重なる偽装表示で、公正取引委員会などの立ち入り検査が厳しくなってきたために、今まで、業界で暗黙の了解として横行していた偽装表示を、適正表示に変えざるを得なくなり、その反動で、数少ない本物の値段が跳ね上がってきた(本来の値段に戻った)ということでした。

BSE問題を機に、牛肉に始まり鶏肉、豚肉、野菜まで、次から次へとボロが出てきます。

JASの表示など何の信頼にもなりません。

安さを求める社会風潮に、消費者をいかにだまして儲けるかが、商売の大原則になってしまった業界の常識が今、次々に明かされてきました。

お金儲けのためなら何でもありの世界です。

生産量の何十倍も何百倍も出回る「魚沼産コシヒカリ」や「関サバ」なども皆同じです。

それどころか一般の商品の隅々まで、このゴマカシが定着している現状は、まさにどっかで聞いた三流国家そのものです。とても一流の国民とは思えません。

頭を冷やしてまともに考えれば、世の中には「高くて良い物」か「安くて悪いもの」しかないはずです。

いや、もう一つ、商売人が一番儲かる「高くて悪い物」というのもありますね。

しかし、多くの商売人が謳っている「安くて良い物」というのは、存在するはずはないのです。数学的にも計算式が成り立ちません。

「安い物には訳がある」、それが今回の一連の偽装表示問題が教えてくれた真実なのです。

私の知人に、輸入海産物を扱う箱詰め業者がいます。

韓国をはじめ、中国や東南アジアの国々から、いろんな魚介類が入ってきます。

それを、卸業者が用意した様々な箱に入れ替えて納入するのですが、その箱には、「瀬戸内産」とか「有明産」など、国内各地の産地名が印刷されています。

スーパーなどで、そういう物がいかにも美味しそうに並んでいますが、私は買いません。

矢部の上田さんから教わった話ですが、去年の今頃、盛んに繰り広げられていた、ハンバーガー、牛丼、焼き肉食べ放題チェーン店などでの値下げ合戦。 実は100㌘10~20円という世界一安い牛肉が使われていたそうです。

世界一安い牛肉とは、いったい何処の国の牛肉でしょう。

狂牛病が日本でも大問題になった今、その肉がどういう肉であったのかと言うことが、おぼろげながら推察できます。(この事に関しては、船瀬俊介著「買ってはいけない」に詳しく紹介されているそうです。)

こうなると、安い物を食べるということは、もう命がけですね。

今や業界の隅々にまで広がったゴマカシ体質から身を守るには、やはり、信頼できる生産者と直接結びつくしか方法はありませんね。そして、ちゃんとした材料を使って自分で調理することを大事にして下さい。

一連の偽装表示問題は、徹底的に業界の膿を絞り出すには良い機会でしょう。

しかし、責任を業界ばかりになすり付けるだけではなく、安さばかりを求めてきた消費のあり方の方向を、そろそろ修正しなければ、根本的な業界の体質改善はできず、また同じ事を繰り返すことになると思います。

業界を偽装に駆り立てた原因は、過度な値下げを要求する消費傾向にもあるのですから。

2001年 福岡県有機農業研究会機関誌「ふくおかの有機農業」寄稿文
福岡県遠賀郡遠賀町上別府1683 筋田靖之

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