有機農業と有機栽培
よく似た言葉ですね。
農薬を使わず、せっせと堆肥を作ってそれで作物を作る、一見同じように見えるので、有機農業者でさえ混同してしまうことがあるのですが、実は大変違うものなのです。
では、どこが違うのでしょう。
それは、何のためにしているのかという「目的」が違うのです。
安全を求める消費者のニーズにこたえて、堆肥や有機肥料などを使って付加価値のある美味しく、より安全で、健康的な農産物を作る。・・・・・・これは有機栽培です。
では、有機農業とは何でしょうか。
それは安全な未来を次の世代に手渡すための農業です。この一言につきます。
農薬、化学肥料、また過剰な有機肥料などによる環境汚染から農地を解放し、自らも合成化学物質に出来るだけ頼らない生活スタイルを追求する。
有機農業での農産物の「安全性」は単なる結果の1つに過ぎません。
有機農業は、もっともっと奥の深い環境運動なのです。
今の消費者が求める「安全性」は自分や家族の健康のためだけのエゴイズムにほかなりません。
過剰な「安全性」の一人歩きは、有機農業の健全な発展も、未来の環境も歪めてしまうものだと考えています。
また農水省が言うように、有機農産物が高付加価値の差別化商品であるためには、周りの多くの農家が農薬を使っていなければ成り立ちません。
そんな事では未来の環境は少しも良くならないのです。地球上の全ての百姓が有機農業を実施して初めて未来の環境は良くなるのです。
ましてや自分の田畑の一部だけ有機農業なんてあろうはずもありません。
有機農産物の値段が高いのは、農水省が言うような「付加価値が高い」からではなく、手間暇がかかっている、つまり「高コスト商品」だからなのです。
昔の日本人は百年先、二百年先の為に、木を植え手入れをしたり、治水事業を何百年もかけて行ってきました。
しかし今の日本人は戦後一貫して行われた権利教育の結果、悲しい事に大変利己的な民族になりました。
自分や家族さえ良ければ、人がどうなろうと構わない。
今が良ければ、未来はどうなろうと知ったことではない。
今のこの便利さのためには、未来を犠牲に出来る…
・・・・・・・でもその未来とは、可愛い子供たちや孫たち、またその子孫たちが生きていかなければならない世界です。
有機農業の目的は未来にあります。何とか美しく、清らかな地球を次の時代に手渡したい。
有機農業者は皆ロマンティスト、私たちが願い夢見る未来はユートピアなのです。
だから皆さんも「安全な農産物」を求めないで下さい。
一緒に「安全な未来」を求めましょう。
「未来の子供たちによい環境を」有機農業の目的を問い直す。
日本有機農業研究会機関誌「土と健康」寄稿文
日本農業に残された道
平成12年 福岡県有機農業研究会機関誌「ふくおかの有機農業」寄稿文
三流商民族国家「日本」
平成13年 福岡県有機農業研究会機関誌「ふくおかの有機農業」寄稿文
17年の有機農業で見えてきたもの(2006年4月1日)
平成18年 福岡県有機農業研究会機関誌「ふくおかの有機農業」寄稿文